朝日新聞webより無断転載
慰安婦、戦地に付きもの―NHK籾井新会長の会見詳報
2014年1月26日03時22分
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■籾井勝人・NHK新会長と報道陣との質疑応答の続き
冒頭発言―NHK籾井新会長の会見詳報
領土問題、主張は当然―NHK籾井新会長の会見詳報
――「政府とNHKの考えが逆になるのはあり得ない」と言いましたが、直近でも秘密法は政府が提案し、強い反発があった。イラク参戦も、日本国内外で反対があった。そういう意味で、常に賛否両論がある問題をどうするのか
政府と逆になることはないといったのは国際放送の話。秘密法については、いろいろな意見もあります。政府に逆のことは言わないんだといっているわけではありません。それなりの意見があってよろしいじゃないかと。政府の人なんかに言わせれば、賛成があってもいいじゃないか、メディアは反対ばっかりということもありますから。基本的には政府ときちんと距離をおいてやる。放送法にそってやれば、政府のいいなりにはならないというのが私の思いです。
――次期経営計画について、公共放送の将来像を示すという考えは
みんなと議論しないと。一存で言えるだけの知識はないので、今からその辺を議論しながら、NHKの収入を増やす方法があるのかを議論していきます。今の受信料の支払率も少しあげていかなければいけない。視聴者に対し、もう一度、なぜ我々の受信料がいるのかを説明していく必要があります。それで多少は増えるでしょう。しかし、そこには限界もある。融合の話など色々出てきたときに、トータルの受信料が増えればいいと思っています。
――政府との距離の問題について、2001年の番組改変問題があった。慰安婦を巡る問題についての考えは
コメントを控えたい。いわゆる、戦時慰安婦ですよね。戦時だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、このへんの問題はどこの国にもあったこと。違いますか。
――放送センターの建て替えについて、3400億円かかる見積もりだが、その手当ては? 民放より高いという報道もある
どこに建てるかも決まっていない。何も決まっていません。その数字がどうやって出てきたか承知していませんが、これをもって高い安いも変な話。そのへんについては、どこに移転するかが決まり、土地の取得でどういうことができるのか、その場所が建物に適しているのか、それが決まって初めて出てくるものだと思います。今の数字で高いとか安いとかは意味がないと思っています。
――抗議が相次いでいる日本テレビで放送中の連続ドラマ「明日、ママがいない」。人権侵害に当たるという議論も起こっており、フィクションの描き方が問われている
知りませんでした。日テレで何がおこっているかわからないのが現状です。先生のあいさつ回りとかで、テレビ見る時間がなくて、少し疎いんです。
――スポーツ報道の展望は
ロンドン五輪からスポーツに対する国民的な人気が高まってきていて、注目されなかったスポーツがどんどんでてきています。メディアのスポーツ放送に関する責任、役割は非常に大きいと思っています。国威発揚というと古めかしいが、奮い立たせる作用がある。スポーツ放送は極力積極的にやろうと思っています。
――仕事でニューヨークに住んでいた籾井会長から、ニューヨーク・ヤンキースへの入団が決まった田中将大投手にメッセージを
2番街の53丁目においしいおすし屋さんがあるよと言うぐらいですかね。何を食べてもおいしいし、いいところ。マーくんがどこに住むか知りませんが、松井秀喜選手が住んでいるところは90階だてのマンションで、55じゃなく56階に住んでいて、私も見に行ったんですが、88階の部屋を見せられて、かみさんに一蹴されましたね。家というか社宅ですよ。その後、(同じヤンキース所属の)ジーター選手がアパートに入ってきたらしいです。マンハッタンに住むことをお勧めしますね。
――東京五輪までにインターネットで同時再送信するサービスはやりたいのか
ITアタマでいうと、急がないと遅れるという気持ちはあります。とにかくやらなければいけないという気持ちは変わらない。ただ、現実をちらちら聞くと、NHKとして、ダダダと行けない環境もあるわけで、もう一度慎重にレビューしたい。会長が思ったらその通りにいくとは限らないので、もう一度検討したいと思っています。やるべきはやるべきです。
――番組編成で物足りないと思うところは
会長としてというより、視聴者としてテレビを見たときに民放の音とNHKの音は違うなと。ところが最近、NHKの放送に民放の音が混じっているんですよ。けなしているわけではなくて、かみさんがそう言うんです。つまり、民放化しているんじゃないかと。この辺をNHKがどう考えるのかというのはあると思います。みんな、NHKでバラエティーを見たいと思っているのか。民放はいっぱいバラエティーがありますから。がちゃがちゃしてますよね。
――NHKの番組にバラエティーが多すぎるということか
そういうことだと思いますね。
――先ほどの発言から、慰安婦は戦争していた国すべてにいた、というふうに取れるが
こっちから質問ですけど、韓国だけにあったことだとお思いですか。
――どこの国でも、というと、すべての国と取れる
戦争地域ってことですよ。どこでもあったと思いますね、僕は。
――何か証拠があってのことなのか
この問題にこれ以上深入りすることはやめたいのですが、いいですか。慰安婦そのものが良いか悪いかと言われれば、今のモラルでは悪いんです。じゃあ、従軍慰安婦はどうだったかと言われると、これはそのときの現実としてあったということなんです。私は慰安婦は良いとは言っていない。ただ、ふたつに分けないと、話はややこしいですよ。従軍慰安婦が韓国だけにあって、他になかったという証拠がありますか?
言葉尻をとらえてもだめですよ。あなた、行って調べてごらんなさいよ。あったはずですよ。あったんですよ、現実的に。ないという証拠もないでしょう。やっぱり従軍慰安婦の問題を色々うんぬんされると、これはちょっとおかしいんじゃないかという気がしますよ。私、良いといっていませんよ。しかしどう思いますか。日本だけがやっていたようなことを言われて。
――他の国にもあったということと、どこの国にもあったということは違う
戦争をしているどこの国にもあったでしょ、ということです。じゃあ、ドイツにありませんでしたか、フランスにありませんでしたか? そんなことないでしょう。ヨーロッパはどこだってあったでしょう。じゃあ、なぜオランダに今ごろまだ飾り窓があるんですか? 議論するつもりはありませんが、私が「どこでもあった」と言ったのは、世界中くまなくどこでもあったと言っているのではなくて、戦争している所では大体そういうものは付きものだったわけですよ。証拠があるかと言われたけれども、逆に僕は、なかったという証拠はどこにあったのか聞きたいですよ。
僕が今韓国がやっていることで一番不満なのは、ここまで言うのは会長としては言い過ぎですから、会長の職はさておき、さておきですよ、これを忘れないで下さいよ。韓国が、日本だけが強制連行をしたみたいなことを言っているから、話がややこしいですよ。お金寄越せと言っているわけですよ、補償しろと言っているわけですよ。しかしそういうことは全て、日韓条約で国際的には解決しているわけですよ。それをなぜそれを蒸し返されるんですか。おかしいでしょう。そう思いますよ、僕は。
――今のところ、「会長としての職はさておいて」というが、ここは会長会見の場だ
失礼しました。じゃあ、全部取り消します。
――取り消せないですよ
しつこく質問されたから、答えなきゃいかんと思って答えましたが、会長としては答えられませんので。「会長はさておき」と言ったわけですよ。じゃあ、取り消しますよ。まともな会話ができなくなる。「それはノーコメントです」と、それで済んじゃうじゃないですか。それでよろしいんでしょうか。
――あいさつ回りに行ったのは、具体的にはどこか
言えません。
――現在のNHKの組織や人員、チャンネルなどが適正と考えているか
放送現場にどれだけの人数が必要とされているのかは、正直いってよく私もわかりません。1万人というのは大きい数字であることは間違いない。けれど、これをもって減らさなきゃいけないということにはすぐにはならないですが、よく今後とも見ていきたい。チャンネルは、さしあたりは今のままでいいんじゃないかと思いますが、それもちょっとよくわかりません。
――日本ユニシス特別顧問は昨日付でやめたということでいいか
けっこうです
――靖国神社や従軍慰安婦問題について、肯定的に受け取れる発言があった。会長はNHKの編集責任者といえる。こうした自分の考えを、番組に反映させたいという思いがあるか
何度も申しておりますが、我々の放送に対する判断は、全部放送法にのっとっておりますから。私がどういう考えであろうがなかろうが、全部放送法に基づいて判断します。さきほどの慰安婦や靖国の問題は、僕はおっちょこちょいなもんですからすぐに乗っちゃうんですが、もう一度よく言います。慰安婦の問題そのものを取り出した場合、これは悪いにきまっている。しかし、戦争の時に起こった韓国の問題については、本当に日本だけですかと。しかもこれは日韓条約で全部済んでいるんじゃないですか、と申し上げた。靖国の問題に関しては、総理が行ったのが良いとか悪いとかは申していません。ただ、靖国は、戦時中はそういうことでみんな家族を送り出した。だからそういう人たちは、あそこに自分の家族がいると言っています。うちには、ちなみに戦死者はいません。
――個人的見解を番組に対して反映するつもりがないのか。明確にどうか
ありません。
――3年間でこれだけはやらなければいけないと思っていることを、優先順位をつけて具体的に
まず最初は、放送法に準拠した考え方で、ボルトとナットをもう一回みんなで見直す。これによって、NHKの中のガバナンスをもう少ししっかりしようということが第一。これはすぐに始めなければいけない問題です。二つ目は国際放送。急いでやらないといかん問題だ。尖閣だ竹島だということを、諸外国の人たちにどう理解してもらうか。国際放送しかないと思っております。
この二つが、早急に手を着けなければいけない点ではないかと思います。放送と通信の融合の話は、かなり研究も進んでいるんだろうと思っています。どういうふうに実現していくか。工程表やタイムテーブルぐらいできるようにしたいと思っています。
――国際放送について、具体的にはどうしたいか。まず領土問題をきちんと伝えるということを重視しているのか
尖閣・竹島の問題は最重要課題のひとつですが、同時に、国内で起こっていることも、なぜこういうことが起こっているのかという説明も必要。また、ヨーロッパとか中東などとの関係の中で、日本をどうインプットしていくかも非常に大事だと思います。日本の存在感は大いに出していかねばならないし、そういう国にも日本を認知してもらう必要があろうと思います。今、なにもないんですよね。
――籾井さんの会長擁立にあたっては、安倍政権の影があったと伝えられており、今回の発言内容も政権や安倍首相の思いとシンクロしているように思える。政権の意向を、NHKにもっと代弁させたい考えがあるのかどうか
ありません。何回も申しているように、僕が自分の考えまで言ってしまうものだから話が混乱しちゃうんですが。何回も申しているように「放送法、放送法」と言っているのは、それがあるがゆえに、我々は(政治と)距離を保てるんだということです。それをご理解頂きたいと思います。
私の個人的思想が誰かに近いと思われても、それはたまたまで、違うこともいっぱいある。僕が政府に近いと言われるのは、皆さんのご自由です。私は政治家は本当に知りませんから。今、私が申したことは別に、政府からふきこまれたわけでも何でもないです。
――政権との距離は会長自身、取っていくつもりがあるということか
それはそうですよ。こと報道に関していえば、それは当然のことでしょう
――放送と通信の融合の問題。民放にはNHKに比べてインターネットでのサービスがやりにくい事情がある。会長としては、民放と足並みをそろえることを考えなければいけないと思っているか。それとも、NHKはできることを考えていけばいいという考えか
民放の事情は承知していますが、やらなきゃいけないことのスピードを鈍らせるということにはならないのでは。民放にも、どうやったらできるんだということを、もっと積極的に考えて頂かないと、日本全体がすごく遅れることになる。ただ僕もビジネスマンですから、民放の方が何を考えておられるのか、もう少し聞いてみたい。「何が何でも自分だけやるんだ」ということを言うつもりはないんだけれど、「何がなんでも一緒にいく」とも思っていない。状況次第ですね。
慰安婦、戦地に付きもの―NHK籾井新会長の会見詳報
2014年1月26日03時22分
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■籾井勝人・NHK新会長と報道陣との質疑応答の続き
冒頭発言―NHK籾井新会長の会見詳報
領土問題、主張は当然―NHK籾井新会長の会見詳報
――「政府とNHKの考えが逆になるのはあり得ない」と言いましたが、直近でも秘密法は政府が提案し、強い反発があった。イラク参戦も、日本国内外で反対があった。そういう意味で、常に賛否両論がある問題をどうするのか
政府と逆になることはないといったのは国際放送の話。秘密法については、いろいろな意見もあります。政府に逆のことは言わないんだといっているわけではありません。それなりの意見があってよろしいじゃないかと。政府の人なんかに言わせれば、賛成があってもいいじゃないか、メディアは反対ばっかりということもありますから。基本的には政府ときちんと距離をおいてやる。放送法にそってやれば、政府のいいなりにはならないというのが私の思いです。
――次期経営計画について、公共放送の将来像を示すという考えは
みんなと議論しないと。一存で言えるだけの知識はないので、今からその辺を議論しながら、NHKの収入を増やす方法があるのかを議論していきます。今の受信料の支払率も少しあげていかなければいけない。視聴者に対し、もう一度、なぜ我々の受信料がいるのかを説明していく必要があります。それで多少は増えるでしょう。しかし、そこには限界もある。融合の話など色々出てきたときに、トータルの受信料が増えればいいと思っています。
――政府との距離の問題について、2001年の番組改変問題があった。慰安婦を巡る問題についての考えは
コメントを控えたい。いわゆる、戦時慰安婦ですよね。戦時だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、このへんの問題はどこの国にもあったこと。違いますか。
――放送センターの建て替えについて、3400億円かかる見積もりだが、その手当ては? 民放より高いという報道もある
どこに建てるかも決まっていない。何も決まっていません。その数字がどうやって出てきたか承知していませんが、これをもって高い安いも変な話。そのへんについては、どこに移転するかが決まり、土地の取得でどういうことができるのか、その場所が建物に適しているのか、それが決まって初めて出てくるものだと思います。今の数字で高いとか安いとかは意味がないと思っています。
――抗議が相次いでいる日本テレビで放送中の連続ドラマ「明日、ママがいない」。人権侵害に当たるという議論も起こっており、フィクションの描き方が問われている
知りませんでした。日テレで何がおこっているかわからないのが現状です。先生のあいさつ回りとかで、テレビ見る時間がなくて、少し疎いんです。
――スポーツ報道の展望は
ロンドン五輪からスポーツに対する国民的な人気が高まってきていて、注目されなかったスポーツがどんどんでてきています。メディアのスポーツ放送に関する責任、役割は非常に大きいと思っています。国威発揚というと古めかしいが、奮い立たせる作用がある。スポーツ放送は極力積極的にやろうと思っています。
――仕事でニューヨークに住んでいた籾井会長から、ニューヨーク・ヤンキースへの入団が決まった田中将大投手にメッセージを
2番街の53丁目においしいおすし屋さんがあるよと言うぐらいですかね。何を食べてもおいしいし、いいところ。マーくんがどこに住むか知りませんが、松井秀喜選手が住んでいるところは90階だてのマンションで、55じゃなく56階に住んでいて、私も見に行ったんですが、88階の部屋を見せられて、かみさんに一蹴されましたね。家というか社宅ですよ。その後、(同じヤンキース所属の)ジーター選手がアパートに入ってきたらしいです。マンハッタンに住むことをお勧めしますね。
――東京五輪までにインターネットで同時再送信するサービスはやりたいのか
ITアタマでいうと、急がないと遅れるという気持ちはあります。とにかくやらなければいけないという気持ちは変わらない。ただ、現実をちらちら聞くと、NHKとして、ダダダと行けない環境もあるわけで、もう一度慎重にレビューしたい。会長が思ったらその通りにいくとは限らないので、もう一度検討したいと思っています。やるべきはやるべきです。
――番組編成で物足りないと思うところは
会長としてというより、視聴者としてテレビを見たときに民放の音とNHKの音は違うなと。ところが最近、NHKの放送に民放の音が混じっているんですよ。けなしているわけではなくて、かみさんがそう言うんです。つまり、民放化しているんじゃないかと。この辺をNHKがどう考えるのかというのはあると思います。みんな、NHKでバラエティーを見たいと思っているのか。民放はいっぱいバラエティーがありますから。がちゃがちゃしてますよね。
――NHKの番組にバラエティーが多すぎるということか
そういうことだと思いますね。
――先ほどの発言から、慰安婦は戦争していた国すべてにいた、というふうに取れるが
こっちから質問ですけど、韓国だけにあったことだとお思いですか。
――どこの国でも、というと、すべての国と取れる
戦争地域ってことですよ。どこでもあったと思いますね、僕は。
――何か証拠があってのことなのか
この問題にこれ以上深入りすることはやめたいのですが、いいですか。慰安婦そのものが良いか悪いかと言われれば、今のモラルでは悪いんです。じゃあ、従軍慰安婦はどうだったかと言われると、これはそのときの現実としてあったということなんです。私は慰安婦は良いとは言っていない。ただ、ふたつに分けないと、話はややこしいですよ。従軍慰安婦が韓国だけにあって、他になかったという証拠がありますか?
言葉尻をとらえてもだめですよ。あなた、行って調べてごらんなさいよ。あったはずですよ。あったんですよ、現実的に。ないという証拠もないでしょう。やっぱり従軍慰安婦の問題を色々うんぬんされると、これはちょっとおかしいんじゃないかという気がしますよ。私、良いといっていませんよ。しかしどう思いますか。日本だけがやっていたようなことを言われて。
――他の国にもあったということと、どこの国にもあったということは違う
戦争をしているどこの国にもあったでしょ、ということです。じゃあ、ドイツにありませんでしたか、フランスにありませんでしたか? そんなことないでしょう。ヨーロッパはどこだってあったでしょう。じゃあ、なぜオランダに今ごろまだ飾り窓があるんですか? 議論するつもりはありませんが、私が「どこでもあった」と言ったのは、世界中くまなくどこでもあったと言っているのではなくて、戦争している所では大体そういうものは付きものだったわけですよ。証拠があるかと言われたけれども、逆に僕は、なかったという証拠はどこにあったのか聞きたいですよ。
僕が今韓国がやっていることで一番不満なのは、ここまで言うのは会長としては言い過ぎですから、会長の職はさておき、さておきですよ、これを忘れないで下さいよ。韓国が、日本だけが強制連行をしたみたいなことを言っているから、話がややこしいですよ。お金寄越せと言っているわけですよ、補償しろと言っているわけですよ。しかしそういうことは全て、日韓条約で国際的には解決しているわけですよ。それをなぜそれを蒸し返されるんですか。おかしいでしょう。そう思いますよ、僕は。
――今のところ、「会長としての職はさておいて」というが、ここは会長会見の場だ
失礼しました。じゃあ、全部取り消します。
――取り消せないですよ
しつこく質問されたから、答えなきゃいかんと思って答えましたが、会長としては答えられませんので。「会長はさておき」と言ったわけですよ。じゃあ、取り消しますよ。まともな会話ができなくなる。「それはノーコメントです」と、それで済んじゃうじゃないですか。それでよろしいんでしょうか。
――あいさつ回りに行ったのは、具体的にはどこか
言えません。
――現在のNHKの組織や人員、チャンネルなどが適正と考えているか
放送現場にどれだけの人数が必要とされているのかは、正直いってよく私もわかりません。1万人というのは大きい数字であることは間違いない。けれど、これをもって減らさなきゃいけないということにはすぐにはならないですが、よく今後とも見ていきたい。チャンネルは、さしあたりは今のままでいいんじゃないかと思いますが、それもちょっとよくわかりません。
――日本ユニシス特別顧問は昨日付でやめたということでいいか
けっこうです
――靖国神社や従軍慰安婦問題について、肯定的に受け取れる発言があった。会長はNHKの編集責任者といえる。こうした自分の考えを、番組に反映させたいという思いがあるか
何度も申しておりますが、我々の放送に対する判断は、全部放送法にのっとっておりますから。私がどういう考えであろうがなかろうが、全部放送法に基づいて判断します。さきほどの慰安婦や靖国の問題は、僕はおっちょこちょいなもんですからすぐに乗っちゃうんですが、もう一度よく言います。慰安婦の問題そのものを取り出した場合、これは悪いにきまっている。しかし、戦争の時に起こった韓国の問題については、本当に日本だけですかと。しかもこれは日韓条約で全部済んでいるんじゃないですか、と申し上げた。靖国の問題に関しては、総理が行ったのが良いとか悪いとかは申していません。ただ、靖国は、戦時中はそういうことでみんな家族を送り出した。だからそういう人たちは、あそこに自分の家族がいると言っています。うちには、ちなみに戦死者はいません。
――個人的見解を番組に対して反映するつもりがないのか。明確にどうか
ありません。
――3年間でこれだけはやらなければいけないと思っていることを、優先順位をつけて具体的に
まず最初は、放送法に準拠した考え方で、ボルトとナットをもう一回みんなで見直す。これによって、NHKの中のガバナンスをもう少ししっかりしようということが第一。これはすぐに始めなければいけない問題です。二つ目は国際放送。急いでやらないといかん問題だ。尖閣だ竹島だということを、諸外国の人たちにどう理解してもらうか。国際放送しかないと思っております。
この二つが、早急に手を着けなければいけない点ではないかと思います。放送と通信の融合の話は、かなり研究も進んでいるんだろうと思っています。どういうふうに実現していくか。工程表やタイムテーブルぐらいできるようにしたいと思っています。
――国際放送について、具体的にはどうしたいか。まず領土問題をきちんと伝えるということを重視しているのか
尖閣・竹島の問題は最重要課題のひとつですが、同時に、国内で起こっていることも、なぜこういうことが起こっているのかという説明も必要。また、ヨーロッパとか中東などとの関係の中で、日本をどうインプットしていくかも非常に大事だと思います。日本の存在感は大いに出していかねばならないし、そういう国にも日本を認知してもらう必要があろうと思います。今、なにもないんですよね。
――籾井さんの会長擁立にあたっては、安倍政権の影があったと伝えられており、今回の発言内容も政権や安倍首相の思いとシンクロしているように思える。政権の意向を、NHKにもっと代弁させたい考えがあるのかどうか
ありません。何回も申しているように、僕が自分の考えまで言ってしまうものだから話が混乱しちゃうんですが。何回も申しているように「放送法、放送法」と言っているのは、それがあるがゆえに、我々は(政治と)距離を保てるんだということです。それをご理解頂きたいと思います。
私の個人的思想が誰かに近いと思われても、それはたまたまで、違うこともいっぱいある。僕が政府に近いと言われるのは、皆さんのご自由です。私は政治家は本当に知りませんから。今、私が申したことは別に、政府からふきこまれたわけでも何でもないです。
――政権との距離は会長自身、取っていくつもりがあるということか
それはそうですよ。こと報道に関していえば、それは当然のことでしょう
――放送と通信の融合の問題。民放にはNHKに比べてインターネットでのサービスがやりにくい事情がある。会長としては、民放と足並みをそろえることを考えなければいけないと思っているか。それとも、NHKはできることを考えていけばいいという考えか
民放の事情は承知していますが、やらなきゃいけないことのスピードを鈍らせるということにはならないのでは。民放にも、どうやったらできるんだということを、もっと積極的に考えて頂かないと、日本全体がすごく遅れることになる。ただ僕もビジネスマンですから、民放の方が何を考えておられるのか、もう少し聞いてみたい。「何が何でも自分だけやるんだ」ということを言うつもりはないんだけれど、「何がなんでも一緒にいく」とも思っていない。状況次第ですね。