カテゴリ: 地すべり

↓「すべり面せん断試験機の開発とその適用によるすべり面せん断抵抗角の評価」2004、眞弓孝之さん(国土防災の方です)
http://dlwww.dl.saga-u.ac.jp/contents/diss/GI00000878/Mayumi%20Takayuki.PDF
は、佐賀大学の電子図書館にあったのですが、このようなものがネットで見られるのは便利です。
この文献はほぼそっくり雑誌「地すべり技術Vol33No.1~No.3」に掲載されています。
また、雑誌「地すべり」にも、数回に分けて論文が提出されていました
(勉強不足で昨日まで知りませんでしたが)。
この研究が優れているのは

1.多数の地すべりで、不かく乱のすべり面粘土で原位置試験データを集めていること。
2.すべり面でなにが起こっているのかをミクロなレベルで解明していること。
3.2で解明された現象が強度定数cφにどのような関係をもっているのか。
を系統的にまとめあげていることです。
いままであった多くの研究は1が欠如しているもの、2→3の関連付けがないものがほとんどでした。
さらなる進展を望みます。

途中

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その中で、地すべりの排水ボーリング中の様子を、カメラで観察した結果報告が面白かった。
排水ボーリングの保孔管は四方に穴があいていますが、パイプに入ってくる水は、パイプよりも上に水位があっても主に横と下の穴から流入してくる。
これは、どうやらパイプの周囲の土がそれなりに自立していてパイプのと間に隙間があるため、パイプの上や横のそれほど透水性の良いとは言えない土塊から浸み出してきた水が、パイプの周りに隙間があるため一旦底のほうに溜まってからパイプの中に入ってくるためらしい。
パイプの底の方の穴は水がこぼれて害をなすだけと思われていたが、意外にも現在の工法では水を取り込む役割の主体を担ってもいることがわかった。
水は底の穴から入ってはこぼれを繰り返しているらしい。
理想的にはパイプと地山を密着させ、パイプの底には穴を開けないようにすれば拾った水は逃がさないのだろうけれども、それはむずかしい。
延長が短い場合はパイプを地山に圧入することでかなり良い結果になるような気がするが、軟らかい地山で数mの圧入が限界でしょうか。

前置きに時間を取られて要点を説明する時間が足りなくなる発表が多い中、この発表は、要点を手際よくまとめて、発表自体も良かった。

ハイドロプレーン現象とは、雨でぬれた路面で高速運転すると、タイヤと路面との間の水がはけ切れなくなって、タイヤが水膜の上に乗ってしまうためにおきるそうです。
地すべりでも原理は同じですね。

↓ハイドロプレーン現象
http://publish.carsensorlab.net/terms/_8997.html

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テレビでの映像で連日報道されていた、荒砥沢ダムの大規模地すべりについて、日本地すべり学会の調査団が、、「段階的でなく、一気に滑ったと見られる」と発表したそうです。
↓河北新報の19日の記事
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/06/20080619t13014.htm

記事では触れていませんが、2万5千分の1地形図を見ると、今回の大規模地すべりとほぼ同じ形状をした、地すべり地形がはっきりと判読できます。明らかに地すべり履歴のある山の再活動と言えると思います。
荒砥沢ダムの周辺には、ぱっと見ただけで、他にも大規模な地すべり地形があると思います。
こうなると、ダムの立地自体、適切であったのかという議論がでてくるかもしれません。
そのような事情もあって、地すべり学会の調査団も地すべり履歴のある斜面であることについてはあえて触れていないのかも知れません。
貯水湖の水がダムからあふれ出て、下流の集落が飲み込まれる大惨事にならなくてよかったです。

↓アジア航測が迫力のある空撮写真他を公開しています。
http://www.ajiko.co.jp/bousai/miyagi2008/miyagi_iwate.htm

ー追伸ー
地すべり発生時にやはり荒砥沢ダムに高さ3mの津波が押し寄せていたらしいです。
↓河北新報の19日の記事
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1029/20080619_13.htm

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幸運にも地すべり末端部の断面を見ることができた露頭です。

下記のページにもう少し写真があります。
http://www.egeo-jp.com/geosite/041108kitamusa/041108kitamusa.html

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