自営の地質調査技術者 渡邊良夫 yupauta2013@gmail.com http://www.egeo-jp.com/ https://www.facebook.com/yoshio.watanabe.1272 https://www.youtube.com/channel/UCl8RTBofvJNU7NyZmR2zwAw
海洋開発機構 http://www.jamstec.go.jp/j/ のメンバーが主な著者の「先端巨大科学で探る地球」金田義行ほか(2008) http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-063707-7.html を読みかけています。
例の地球深部探査船「ちきゅう」http://www.jamstec.go.jp/chikyu/jp/CHIKYU/index.htmlを動かしている組織です。
地球シミュレータ http://www.jamstec.go.jp/esc/index.html という50m×65m四方(建物がですが)もあるコンピューターも動かしており、固体から大気圏に渡る地球の様々な現象のシミュレーションを目指しています。(
こちらのギャラリーが幻想的なほどすごいです↓
http://www.jamstec.go.jp/esc/gallery/index.html
ものすごく頭の良い人たちが集まっていてさすがと思います。
佐藤哲也(宇宙空間科学、プラズマ物理学、シミュレーション科学がご専門)、地球シミュレータセンター長が次のように述べています。

↓引用
“シミュレーションはシステムの未来の発展を科学的に予測してくれる、人類が手に入れた最大にして最初の「未来を見る望遠鏡」である。しかし、ここで忘れてならないことは、シミュレーション単独では未来を予測することはできないということである。初期条件を正しく与えてやらないと、いかに高性能のシミュレーションコードが存在しても、宝の持ち腐れとなる。いうなれば、未来を予測するには、シミュレーションの分解能と同程度の分解能の観測データの存在が前提となる。”
ありがたいお言葉です。かっこいいシミュレーションを意味のあるものにするには、地道な現場データの取得に労力とお金をかけないとお話にならないといっています。


斜面工学の分野では、京大の大西有三氏は「岩盤崩壊と落石問題に関する現状と課題」地すべりVol.39No.1(2002)で同様の趣旨を述べています。(大学の先生ですが、現場寄りの視点を持つ方と思います。ずいぶん以前に何かの学会でDEMの岩盤崩壊の解析の話を聞いたときは漫画みたい???と思いましたが重鎮になられましたね)

↓引用
“数値解析では、一旦モデルが決められると、その結果はそのモデルの範囲でしか意味を持たないことを常に注意しておく必要がある。しかし、それを忘れて数値計算の結果だけで、その工学的な意味を議論することがしばしばあるのも事実である。”
“数値解析手法の適用範囲や計算条件、解析に必要な情報(入力値)を的確に決定することが極めて重要である。ただし、長期にわたる破壊現象は、経年進行過程が不明なこと、破壊発生に占める誘因の影響が大きいこと、解析上の入力物性の評価・設定が難しいことなどから現状では確立されていない面も多い。”

そして今後の課題の項で述べています。
↓引用
“岩盤調査および落石調査は、現地踏査が基本であるが...中略...要注意斜面は極めて多く、詳細調査は不可能である。現実的処方箋については現場技術者の経験的判断が最も重要になっているので、一定水準以上の技術を持った、土木と地質の両分野に精通した専門技術者の要請が不可欠である。岩盤崩壊発生箇所を特定するためには、崩壊現象を岩盤斜面形成という地形・地質発達史的な見方をもって捉える必要があり、そうした目を持つ地質専門家の協力が欠かせない。”
数値解析の専門家がおっしゃっています。ありがたいことです。
また次のようにも述べています。

↓引用
“Hoek and Brayの名著「Rock Slope Engineering」は30年前に出版されたものであるが、内容は未だに陳腐化していな...中略...すなわち、岩盤斜面の本質的な取り扱い方法はここ30年余り変化していないということである。”


振り返って、身の回りのレベルではどうでしょう。設計サイドから、(cφ等の地盤定数は指針の表から適当に持ってきてでも)とにかく安定計算をしてとか言われることがあります。意味をまったく理解しようとせず数字さえ出れば何でもよいといった姿勢、それだけなら良いのですが、重要な定性的な答えを出す現地踏査を技術として評価しない風潮があると思います。(昔から多くの業務で踏査はサービスでやって来たのが現実ですね)

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プロフィール

渡邊良夫_Yoshio Watanabe

自営の地質調査技術者
屋号:いいじお
神奈川県川崎市
Engineer on Geology
Kawasaki city Kanagawa Japan
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